時効

時効について

時効と似ている制度とは


時効には大きく分けて消滅時効と取得時効とがありますが、その他に時効と似たような内容を持つものに除斥期間があります。権利の行使や存続において消滅時効と似ていますが、大きく違う点は、その期間において当事者の援用を必要としないことと、中断という制度が無いことです。通常、時効は援用をして、初めて、その効力を発揮できますが、この場合には期間が過ぎていれば援用をしなくても、裁判所では権利が消滅したものとして裁判を行います。該当するものとしては、例えば、盗品・遺失物の回復請求権の2年、また、占有訴訟の1年、不動産の買戻し権の5年など、およそ8条文が民法で定められています。その中でも、最も短いものは婚姻取消権で、それは3カ月と6カ月とになっています。民法との兼ね合いも含め、判断に難しい場合も多く、特に、売買契約における取消権に関してなどは民法で5年となっており、どちらの条文を用いるのかで争う場合もあります。通常は、その違いを民法での規定から判断する場合が多く、そこでは、民法の時効編の条文に載っているもの、または、「時効により」と明示されたものを時効扱いとしています。取得時効も含めて、時効を専門的に扱っている法律事務所を見つけることは難しいことですが、生活をする上においては権利に関しての期間はとても重要なことです。


消滅時効の意義と適応範囲について


消滅時効とは、権利を行使していない事実状態が一定期間経過すると、行使しない者がその権利を失う制度です。消滅時効が存在している意義としては、永続した事実状態を尊重するため、立証が困難な状況を救済するためといった点を挙げることができます。それに加えて、権利の上に眠る者を保護しないという民法の傾向も挙げることができます。これは、たとえ正統な権利者であったとしても、ある一定の期間その権利の行使・維持に必要な措置をとらなかった者を保護する必要はないという考え方です。消滅時効について定めた民法166条においても、その考え方は具体化されています。
またいくら長期間権利を行使していなかったとしても、その適応範囲はすべての権利に及ぶわけではありません。その適応範囲は、債権などの財産権には適応されますが、占有権や所有権など適応されない権利もあります。占有権に消滅時効が適応されないのは、そもそもこの権利がある物を誰かが支配しているその事実状態に法的保護を与えるものだからです。つまり占有権の消滅時効を認めてしまえば、永続した事実状態を尊重するため、という消滅時効の存在意義に反してしまうからです。また所有権の場合は、目的物が存在する限り永久に存続する性質があるため、消滅時効が適応されることはりません。pet05_l


取得時効の意義と適応範囲について


物に対する所有権は通常、売買、相続、譲渡などにより継承されますが、民法では、これら以外にもいくつかの特別な取得原因を定めています。
そのうちの一つに遺失物の時効取得があります。
忘れ物や落し物のことを法律用語では「遺失物」といいます。
もし遺失物を拾ったら、速やかに遺失者(忘れ物や落し物をしてしまった人)に返還するか、警察署長に差し出さなけらばなりませんが、警察署長に差し出した場合には、一定の広告をなし、その後一定期間(6か月)を経過しても所有者がわからない時には、遺失物は拾った人のものになります。
ちなみに、広告中に遺失物の所有者が申し出た場合には、所有者は拾った人に遺失物の価格の5パーセントから20パーセントの報労金(労力に報いるための賃金)を支払わなければならなければなりません。
なぜ、このような制度があるかについては、様々な説がありますが、永続した事実状態を尊重するためである、と言われることが多いです。
また、社会的に違法性のある契約に基づく一般債権が無効であるのと同じように、マリファナや覚せい剤、ピストルなどのような、違法な遺失物を拾って警察署長に差出したとして自分のものになるわけではありません。


時効の停止とは


この意味は、成立する間際になって中断をすることが困難な事情が発生した時に、一定の期間、成立するまでの期間を猶予することです。そのため期間の延長と言い換えることできます。停止の事由と期間は次の以下の場合がございます。
1つ目の事由は民法158条第1項より時効が完成する6箇月以内に未成年者、成年被後見人に法的代理人がいない場合、その者が行為能力者になった時、もしくは法定代理人が就職してから6箇月を経つまで停止期間が有効となります。なお、未成年者は満20歳未満の者を指していて、成年被後見人は家庭裁判所による後見開始の審判を受けた者を指しています。
2つ目は民法158条第2項より、未成年、成年被後見人が法定の財産管理人に対して権利を持っている場合、その者が行為能力者になった時、もしくは後任の法定代理人が就職してから6箇月の間は有効となります。
3つ目は民法159条より夫婦の片方が他方に対して持つ権利について婚姻の解消の時から6箇月の間は有効となります。
4つ目は民法160条より相続財産に関することです。相続人が確定した場合、管理人が選任された場合、もしくは破産手続開始の決定があった場合は、それから6箇月の間は有効となります。
5つ目は民法161条より天変地異が発生した場合です。発生による障害が消滅してから2週間は有効となります。
このような事由があるが、停止は中断とは異なっていて、既に経った期間は無効にはできず、停止事由が終了した後は、停止期間が経てば成立します。


時効の中断とは


現在、時効法の見直しが報道されていますが、時効には消滅時効と取得時効とがあります。報道されているのは消滅時効に関してであり、そこには様々な内容に関しての時効期間が定められています。また、消滅時効においても公訴時効である刑事罰に関する事項、金銭等においての民事関連の時効とに分かれています。一般的に認知されているのは民事関連の時効であり、特に、飲食に関しては1年で時効ということは良く知られています。法務関係でなければ知らない内容のケースも多く、例えば、私人においての金銭貸借に関しては10年、会社関連、銀行、ノンバンクなどの商事関連は5年などと身近なものもあります。私たちが納付している税金においても5年と定まられており、一時、問題になったノンバンクへの不当利得返還請求に関しては10年です。時効を援用する場合には時効にかかった場合に相手側に通知するだけでよく、それは、裁判所でなくても構いません。
時効を中断する場合には裁判所を通しての中断事由の取得となります。裁判上の請求、つまり、訴訟や支払督促を起こすことで時効は中断させることができます。よく、裁判外の催告である内容証明を利用する場合もありますが、この場合には6カ月の中断にしか効用がなく、送付に関しても、延長は1回のみが認められており、6カ月ごとに繰り返し出すことはできません。注意しなければならないことは、例え、判決が出た場合においても判決内容に関しては時効10年が適用されるということです。時効は、例えば、金銭の貸借においても、途中で1回でも払えば、その時点から新たに時効が始まることになります。pet04_l


時効の利益を受けないという意思表示とは


時効は援用権を使わなければ、消滅時効においても、また取得時効においても効力を発揮しない法律です。援用する場合には裁判所でなくとも問題はありませんが、証拠として残しておくのが無難であり、通常は内容証明の通知か、当事者に会うのが問題なければ、証人を連れて行って援用することもあります。訴訟に発展してから、裁判所の法廷で主張する場合もあり、方法は様々です。では、例えば、友人や知人などにおいての金銭の賃貸借に関する時効の利益を受けない場合はどうでしょう。
時効完成前であれば、当然、一括支払いはもちろん、分割払いを行なっていれば、時効は進みません。つまり、支払いをした時点から新たに時効は始まるので、債務が無くなるまで時効は完成しないことになります。時効完成後においては、もし、時効を知らずに支払ってしまった場合には、それは債権者の利益となることが判例ででており、その弁済は時効利益の放棄とみなされます。ただ、人間関係などを考えた場合には援用権を持ちださなくても、相手方に「時効は援用しない」と通知するだけで済むことといえます。どうしても意思表示を伝えたい場合や、後のトラブルが想定される場合などは、内容証明や、公正証書などによる文書での取交しも1つの方法といえます。pet03_l


時効の援用とは


お金の貸し借りを行った後、債権者と債務者の両方、あるいは債権者がお金のやりとりがあったことを忘れてしまうというケースがあります。これは個人同士の貸し借りだけではなく、金融業者と個人の間での取引でも起こりえます。
こういう場合、債務者はそのまま返済を放置していても債権者が思い出さなければ問題は起きませんが、たとえば、債権者が昔、債務者と交わした契約書を発見したといったことがあり、突然、債権者に返済をするように言われる場合があります。
ただ、こういったケースでは必ず返済をしないといけないわけではありません。金融業者と個人間でのやりとりであれば、お金を借りた時期が5年以上前で、最後の返済から5年以上経っていれば、債務は時効になるのです。つまり、返済をしなくても裁判を起こされて差し押さえをされるといったことはなくなるのです。
ただ、時効は債権者に対して意思表示をしないと成立しません。これは時効の援用と呼ばれるものです。時効の援用は書面にして、場所は債権者の自宅や、貸金業者であれば本社などに送ります。債権者は、時効は成立していないという証拠があれば、援用の書類を送られても裁判を起こせますが、もし援用が成立するのであれば、差し押さえは出来なくなります。pet02_l


時効の効果


時効とは、一定の事実状態が法で定められた期間継続した場合に、その事実状態が真実の権利関係に合致するか否かを問わずに、権利の取得や消滅という法的効果を認める制度です。権利取得の効果を認めるものを取得時効、権利消滅の効果を認めるものを消滅時効と呼んでいます。

このような時効の効果は、その起算日に遡ります。これを時効の遡及効といいます。その結果、例えば時効期間中の果実については取得時効によって権利を取得した者に帰属しますし、消滅時効により債務を逃れた者はその間の利息や遅延損害金の支払い義務も免れることとなります。

もっとも、このような時効の効果は、法で定めた期間の経過だけで確定的な権利関係の変動をもたらすものではありません。すなわち、時効を援用する権利を有する者により、時効に基づく権利関係の主張を主張することで初めて確定的な効果が発生するものです。

なお、このように時効の効果の発生には期間の経過のみならず援用も必要となるため、時効の法的性質に関しては大きく分けて二つの学説が対立しています。一つは、時効は法律関係そのものを動かす効果を持つとする実体法説、もう一つは時効は訴訟法上の法定証拠に過ぎないとする訴訟法説です。実体法説が通説・判例であると考えられています。